雲游拳房BLOG

螳螂門を中心に、武術全般について取り扱います。当BLOGは螳螂門を代表するものではありません。 文責はすべて片桐個人に帰します。無断転載・無許可の引用を禁じます。

螳螂門成立の一側面(その二)

 現代の中国では螳螂拳といえば、螳螂剣いわゆる双手剣が有名だ。しかし螳螂門の古来から伝わる実際の技術体系ならば、剣より單刀、棍や双鈎、双鞭(硬鞭)、双〈金間〉がより近いといえる。
 各派に共通する武器術としては、第一に刀が挙げられる。「八卦欄門刀」、「燕青刀」、「太極玉環刀」は有名である。梅花螳螂門の張福州老師もまた、螳螂の手法の表現は刀が最も適していると述べられていた。
 次に棍術。特に「六合棍」は早い時期に螳螂門に吸収されていることが古拳譜からも伺える。この六合棍は于應龍という人物が遺した煙台市福山に伝わるものである。ちなみにこの六合の名は六合派とはまったく関係なく、第一から第六までの套路を合という単位で表している。この棍術は梅花派、七星派の両方に伝承が見られる
 双鈎は梅花系螳螂門の師祖である李秉霄の得意武器であったと彼の故郷に言い伝えがのこる。ある老前輩のお宅で拝見した双鈎は形状が一般のものと異なり、鈎の頭にもう一つ刺刃が多く存在していた。螳螂門の徒手技術から類推して、なるほど、と思わせられることしきりであった。
 硬鞭と〈金間〉はほぼ同じ存在で、金属製の短棒である。古代の馬上武器の一つでもあり、中国古代の武将の中にもこれを戦場で用いて名を挙げた者がいる。一つ(単)でも二つ(双)でもよいが、いわゆる見た目の好い武器術ではない。華法は殆ど無く、単純な動作の組み合わせで構成されている。しかも地上で行えば刀術(単双とも)と基本動作がほぼ一緒であり、より華やかな刀術に地位を奪われていってしまった。それ故か清代以降の近代に至っては殆ど顧みられることがなかった武器である。実を重んじる気風の山東では、より現実的な木製の短棒術に変遷を遂げたものも少なくない。「掠水棒棍」や「把棍」などはこの武器の流れを汲むとも考えられる。査拳門や河北武術で有名な「欄馬厥」もこれから変遷したものという説がある。余談だが、「〈金間〉をやらねぇ奴は漢(おとこ)じゃねぇ」という諺がかつて山東にあったらしい(笑)。
 このほかにも、「小六合槍」や「大槍」、各種の「剣」が現代の門内に共有する武器として存在するが、螳螂門の古い徒手技術の特色とはあまり合致しないと思われる。もちろん近代以降の名人の中には槍や剣を得意とした人間も少なくない。その方々の現代に残る伝承には、やはり徒手技術にも槍や剣の色が濃厚であると感じる。李崑山太師爺の写真からは刀と槍が連想される。李崑山太師爺には家伝の二十四式刀と二十四式槍があったと聞く。またHao家門の技術では本来は槍(家伝の太乙槍)を思想の母体としていたと考えられる。Hao恒禄以降は剣、すなわちHao恒禄の創出した「達磨剣」(双手剣)が看板武器となり、剣の思想と置き換えられたものと考えられる。先輩方が以前、指摘されていたが、槍と剣は好く似た感性があり、棍と刀も似た感性がある。それゆえHao家門では研究しやすい内容だったのかもしれない。螳螂門といえば双手剣、この現代的風潮を創り上げた功績は何と言ってもHao家門に帰するのではないだろうか。
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この記事のコメント

相変わらず勉強になります。
達磨剣は大分忘れましたが、もう一度やりたいです。
2005-11-10 Thu 20:50 | URL | 青砥 #-[ 編集]
螳螂拳にもさまざまな武器があるんですね!
僕はまだ武器の方は練習したことがないんですが、まず見ていてかっこいいなと単純に思えるし、よく武器は「腕の延長」と言われますよね。だからいつかは学んでみたいです。六合螳螂拳にはどんな武器が伝えられているのですか??
また片桐先生はどんな武器が好きなんでか?

2005-11-11 Fri 00:23 | URL | chapan #-[ 編集]
>青砥師兄
ばっちりやってるくせに・・・・。
また忘れたなどと・・・・・。

>chapan様
最近コメントを確認していませんでした。
すみません・・・。

うちは槍棍、刀、剣です。
個人的には槍棍が好きです。
いやっ、刀剣も捨てがたいですね。
縁があって学んだランという器械も大切にしています。そういったら九節鞭もありですね。
2005-11-28 Mon 21:49 | URL | 片桐陽 #kgfPVYbU[ 編集]

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ダーイエさんと合流して練習用のカン(金+間と書きます)を受け取りました。(感謝感激!)これで漢を目指します。(笑) …
2005-11-17 Thu 00:49 市川分会ブログ
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